【まちなかストーリー】WINE & JAPANESE GRILL FUJITA 藤田 隼介さん 第1回「FUJITAを始めたきっかけと起業するまでの話」
- まちなかストーリー
- 2016.08.12
まちなかで活躍する人にスポットを当てて、そのヒトの街に対する想いや物語を紹介する「まちなかストーリー」。今回は2人目、WINE & JAPANESE GRILL FUJITAの藤田 隼介さん。第1回目、「FUJITAを始めたきっかけと起業するまでの話」をお話していただきました。
目次
人物紹介
藤田 隼介さん
23歳で飲食業に誘われた時に5年で自分の店を出す条件で働き始め、その後田町で和洋創作ダイニングの「花音」を開店。自分のお店のスタイルを求めて松城町のまちなか寄りに移転し、1年半前に「ワイン&ジャパニーズグリルFUJITA」に店名を変更。日本人好みの和の味付けで、素材と誠実に向き合いとことんこだわった地元食材を使ったメニューを提供している。最近のブームは海外ドラマの一気見。実はインタビューが苦手。
お店のウェブサイト:「WINE & JAPANESE GRILL FUJITA」
ここは郊外?まちなかの田町から市役所近くの松城町へ移転してきた
鳥居(浜松つーしん): 今日はよろしくお願いいたします。
藤田(WINE & JAPANESE GRILL FUJITA): 都合がわるいのはカットして下さい(笑)
正直あのー、僕はまちなかからこっち(中区松城町)にきた人間なので…もともとはまちなかで商売してたんですけど、そこから、こっちのほうに移転して来まして。
伊藤(まちなかにぎわい協議会): それでもここもまだ街中じゃないですか?
藤田 けっこうお客さんからしてみると、ここは「郊外」になるみたいですね。そこの大通りを1本渡るってなると感覚的に…こんなところに店あったんだって。自分もここに移ってきた時には、ここどこですかって不動産屋に言ったくらいで。昨日来たお客さんも言ってました、「隣の病院にずっと行ってたんだけど、ここにお店があったんだね」って(笑)
そんな感じの場所で。まあでも僕は逆にそれがいいのかなと、売りというか、隠れ家的というか。少し離れたところでというコンセプトですね。
伊藤 なるほど、もともとこちらはオープンしてどのくらい経ちましたか?
藤田 今のこのスタイルのメニューに変える前は、もともと花音というお店をやっていたんですよ。今も(外は)花音という看板なんですけど(笑)
花音を田町の方で丸4年やっていて、こっちに移ってきて2年…3年かな?それくらいやっていたんですね。それで、いろいろあってお店をガラッと変えちゃおうってところで、店名も変えちゃったんですね、僕「藤田」っていうんですけど、自分の名前を使って。それで今6月末なので1年半くらいですね。
移転してガラッとお店のコンセプトを変更
伊藤 花音さんは元々どこでやられていたんですか?
藤田 今のですね「ハレバレ」さんのとこですね、あつみ薬局さんの2階です。
藤田 ガラッとというわけでもないですけど、最初はほんとにどちらかと言うと、HACHIの橋爪くんのとこみたいな感じのお店のもうちょっと縮小した感じで、シックでリーズナブルな感じです。レストランってほどじゃないんですけど、ワインといいお肉をーという感じでやろうと思って、前のお店のコンセプトからガラッといろいろ変えちゃったんですけど、正直結構厳しい部分があって。
やっぱりお客さんにとってはそこまで需要がなかったのか、または自分のやり方がまずかったのか、もともとうちに来ていたお客さんもちょっと、いやーうーん。。。というのが最初はありました。
スタイルというか…なんていうんでしょう、鉄板は出さないんですけど、鉄板焼屋さんをもうちょっとこう、ワインとそれにあったおつまみとってことで、結構洋食よりにガラッと変えて、1年弱くらい頑張ってやってたんです。けど、正直このままじゃまずいなってことで、少しちょっと方向転換ってわけじゃないですけど、おすすめでお刺身とか元々そういうのをやっていたんで、お刺身関係とか出して。
伊藤 メニューのバリエーションを増やしてと
藤田 バリエーションを増やしたのと、あと和食ですね。もともと自分は和食もやっていたので、和食よりのメニューが増えています。
藤田 最初のコンセプトとしては、和食のテイストを盛り込んだ日本人向けの洋食。例えば国産のワインだったり、海外のワインでも日本人好みのものとか、日本人の舌に合うような感じで隠し味に醤油使ったりとか砂糖使ったりとか、完全な洋食じゃなくってというのがやりたかったんですけど。
それをもう少し、和食なら和食!お刺身ならお刺身!とか、ホルモンとかある感じで、もう少しお客さんに寄り添ったメニューで。使い勝手をよくと言うか。
伊藤 花音さんは田町で4年間やってましたが、もともとは別のお店で修行されていたりとかしましたか?浜松にずっといらっしゃったんですか?
藤田 浜松にずっといましたね。ずっと夜働いていました。
5年で自分の店を持つと宣言して飲食業界に
伊藤 何かお店を出すきっかけってあったんですか?
藤田 きっかけはですね、僕お店やる前に10代の頃から夜働いてたんですけど、一回やめて二十歳そこそこくらいには本当に普通に昼間の仕事で働いていたんですけど。あるお店から、店立ち上げるからやってくれないか?と言われて。その時23くらいだったんですけど、「5年で自分の店出します」ってことでそれでよければっていうことで、5年は頑張りますと。で、5年経った時にお店をやるって目標を決めて。
鳥居 5年というのは、誘われて働き始める時に目標を?
藤田 そうですね、そのお店で働き始めた時にもうそこで腹くくって。5年したら僕は自分の店やりますからって。でも、けっこう好きにやらせていただいて。で、その時にどんな店を出すかって言うところまでは全く決めていなかったんですけど、やりながらこういう店にしようかなーああいう店やりたいなーとか考えながら働いて。で、5年経って、現状の自分でどんな店ができるのかなーと。
鳥居 それで始めたのが、田町の花音さんのお店ですね。
藤田 そうですね、はい。そっちはもう本当に、和洋の創作ダイニング花音って感じで、和洋のいろいろメニューも今のメニューほど高いものはなくてリーズナブルに揃えて。でも、チェーン店さんに比べればお値段は少し張りますけど、それに見合うものをちゃんと使って。本当に和食洋食両方ありきでって感じで、お刺身もいろいろ常時5,6種類あれば、パスタがあったりピザがあったりとか。
伊藤 小さい時の将来の夢やなりたかったものってありました?社長になりたいとかお店持ちたいとか。
藤田 いきなりですね(笑)自分でやっぱりやりたいというか、そういう気持ちはたぶん昔からあったんだと思いますね。独立思考というか…どっかのタイミングで自分でやりたいなっていう。
伊藤 前のお店を5年間務めている期間とお店を出す起業の準備期間と重なっている時ってあったんですか?
藤田 それはもう、1ヶ月…いやもうほぼほぼなかったですね。なかったというより、自分が今考えればちゃんとクロスさせてやっとけばよかったんですけど(笑)これはすごく後悔したんですけど。働いているお店もバタバタしていたんで、本当に今思えばもうすごく後悔したんですけど、もちろん当時も(笑)
ちゃんと勤めながら、物件も探しながらやっとけばよかったんですけど、本当に多分被ったのが1ヶ月も被ったかかぶっていないかくらいで、綺麗にスパっとやめてから、さあ物件探しに行こう!ってなって。で、1ヶ月…いつまでも無職なのもね、あれなので。すぐ物件探しに行って。
伊藤 この時27,8歳位ですか?
藤田 それくらいですね、どっちだったかな。。。9月いっぱいくらいに辞めたのかな、それで、やっぱりなかなか物件思うように見つからなくて、結局決めたのが田町のところだったんですけどそこがスケルトンだったので、一から全部もう壁しかなかったので店舗作るのに1ヶ月くらいは掛かって。その間も、準備しながらも無職なんでね、今思えばとんでもないことをしたなと(笑)
伊藤 1人ではじめられたんですか?
藤田 スタッフはそこから集めて…ホントにゼロからでしたね。今思えば本当に、ようやったなという恐ろしい話ですね。
伊藤 ちなみに…お金の話ですいません、起業資金は?
藤田 資金は、自己資金が2~300万くらいあって。でも全然足りないので銀行さんから1000万くらいかりて、後は厨房機材はリースで数百万くらいだったかな。淡々と話すと…恐ろしい話ですよねー、ほんと。
藤田 今だから笑って話せるんですけど。オープン当日に、(手持ちがなさすぎて)釣り銭が数千円しかなかったっていう。。。もうバカでしょ!っていう(笑)もう思った以上にやっぱりいろいろお金がかかりすぎちゃって、やっぱり若かったんですよね。自分初めてやるのもあったので、あっちにもお金掛かってこっちにもお金掛かって、で調子に乗ってあれもこれもって買っちゃって、あれも欲しいこれも欲しいってなって…気が付いたらお金が全く無かったという。…いやぁ、よくなんとかなったなぁと、本当に今だから笑って言えるっていう(笑)
伊藤 広告とかもしないといけないですしね、忘年会シーズンですし
藤田 12/23くらいがプレオープンって感じで、これもう開けなかったら話にならないっていう。その収入がもう12月の稼ぎ時にもう開けれなくて、業者に早くやってくれ早くやってくれって言って。で、プレオープンで知り合いだけでも呼んで入れちゃおうってして。グランドオープンを1/5くらいにしたんですよね。
…みのうち話が長くなっちゃいましたね。
鳥居 これはすごい苦労話を聞けましたね…
伊藤 でも起業する時ってタイミングというか、思った時に飛び込まないとですよね
藤田 そうですね、勢いって大事ですね。でも、勢いつけすぎたんですね(笑)
移転のきっかけは違和感、自分のお店のコンセプトとの乖離
伊藤 田町からこちらに移転しようと思ったきっかけってなんだったんですか?
藤田 家賃もそうなんですけど、僕10代の頃からずっとまちなかで働いてて、なんかこう鬱じゃないですけど嫌になっちゃって、仕事として街中に来るということが。で、そのタイミングくらいの時期に、自分がやりたいと思ってたお店のコンセプトやスタイルがちょっとだんだんかけ離れていっちゃって。
藤田 自分がやりたいようにやってるつもりなんですけど、やっぱり若い子達が多かったので結構まちなかだと。こんな言い方もあれなんですけど、2件目3件目に来て「お冷ください」とか「ソフトドリンク」だけでお酒も飲まないし食べ物も食べないしってお客さんが7,8人出来ても、かといって帰ってくださいとも言えないじゃないですか。
ちゃんと来ていただいているお客さんに、そのせいで席が空けられないとか。贅沢な悩みかもしれないんですけど、だんだんそういうので嫌になっちゃったりとか、それでまちなかでがやがやがやがやしてて、通勤するのも嫌になっちゃってて、タイミングが重なったというのもあって、嫌だなーって思っている時があって。
その時たまたま「ハレバレ」さんが物件探してるって話があって、ちょうどまとまって。それで、もっと自分がやりたいようなと言ったら変な話ですけど、前の店はずっと厨房でつきっきりになってて知り合いにも「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」くらいしか挨拶できなくて、それも嫌だなと思っていて。もうちょっとカウンターでこう料理しながらちょっと会話するとかあるといいなと。
そういうのもあって、ここに移転しましたね。ホントはもっと郊外でも良かったんですけど、たまたまここが空いてるってことで、近すぎず遠すぎずってことで良いのかなと。そうはいっても、なかなかそんな簡単にうまくはいかずっていうこともいろいろありましたけど、本当にもうお金稼ぐだけならずっと向こう(田町)で商売していればよかったんですけど(笑)
伊藤 やっぱりお金だけじゃなくて、自分のやりたいことをせっかく独立してやるんですからっていうのはあったんですね
藤田 そうですね。あとはもう本当に嫌になっちゃって、こっちに移転してから2年間位まちなか1回も行ってないですからね!
鳥居 この近さでですか(笑)
藤田 肴町通りのメルカートさんが酒屋さんなので、メルカートさんに2回位急用で行ったくらいですね。もう飲み行こうって誘われても「ヤダ」って言って、行くなら外行くぞ!って。
一同 (笑)
伊藤 前のお店だと商店街ってどこの所属になっていました?
藤田 どこに入ってたんでしょうね、たぶんそういうのは無かったと思います。
鳥居 お店さん同士の横のつながりとかは特にそういうのはなかったですか?
藤田 あんまりなかったですね、ちょっと苦手な感じだったので…(苦笑)そういうのは「いいですいいです」って遠慮しちゃっていました。
伊藤 完全郊外にというわけではなくて、ちょっと街中の空気も感じられる場所に移転をーー
藤田 本当にもう郊外で探していたんですけど、いいところがなかったというのと、あとは本当にタイミングが良くて。それでここを見た時に、ここの店内の作りが、カウンターとテーブルで完全に分離されているじゃないですか、それが結構いいかなぁと思って。奥のテーブル席で仲間で来て飲んでいってくれてもいいし、喋りたい人はカウンターに座ってくれてもいいし。これはいいなーと思っていたんですけど、一つ後悔があるとすると駐車場がこの辺すごく高いんで贅沢にたくさん借りれないので、同じ家賃で駐車場が付いてるところを郊外で探したほうが良かったかなぁと思うこともありますねー。難しいところですね。
伊藤 隠れ家ダイニングというコンセプトとしては程よい距離感じゃないですか?
藤田 やっぱりお客さんからしてみるとちょっと、本当に前の(田町)お店からだと歩いて5分くらいなんですけど、(地下道)の下を通ってくるとか、好まれないですね。
伊藤 早く横断歩道ができるといいですね。
藤田 そうなんですよねー、地下道を通るのは特に女性からすごい怖いとか嫌だとか聞くので、それだけでも良くなるので僕的には助かりますね。
伊藤 今はお店は何人くらいが働いでいますか?
藤田 今はバイトの人が常に1人入ってもらっていて、全員で3人いるんですけど、その子達がだいたい平日とかだと10時くらいとか、週末だとちょっと忙しい時には12時だったり、2時だったりまでいてもらわないと困る時がありますね。
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今週はここまで!
次回は「お店のコンセプトとメニューのこだわり」について聞いていきましょうー! 公開予定日は8/19です。お楽しみに!