【まちなかストーリー】backwardlab(バックワードラボ)白谷直樹さん 第1話「今、浜松に拠点を持って仕事をする理由とその魅力」

まちなかで活躍する人にスポットを当てて、そのヒトの街に対する想いや物語を紹介する「マチナカストーリー」。
前回の株式会社 大と小とレフの鈴木一郎太さんから紹介いただき、9人目はbackwardlab(バックワードラボ/株式会社バーフェイズ)の白谷直樹さん。全4回に分けて、毎週お届けしていきます。

今週は第一話「今、浜松に拠点を持って仕事をする理由とその魅力」についてお話していただきました。

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人物紹介


白谷直樹さん

福岡県出身、都内でメンズアパレルブランドを起業。中目黒、北青山にお店を出した後、現在は藤沢市辻堂に事務所を構える。今後の方向性の再考とライフスタイルの見直しを提案するべく、万年橋パークビルの7Fのキューブ型テナントCUBESCAPEに入居。浜松にも拠点を持ち3拠点生活を始める。4月7日よりアトリエ兼店舗 backwardlab(バックワードラボ)を週末中心にオープン。ちなみに高校時代はボート部で、SUP(スタンドアップパドルボード)や自転車、バイクも好き。

WEBサイト:

第1話「今、浜松に拠点を持って仕事をする理由とその魅力」


2月はじめ頃のオープン前のCUBESCAPEとバックワードラボの様子

「今回は万年橋パークビルの7Fのキューブ型テナントCUBESCAPE(4月7日オープン)に入居されたbackwardlab(バックワードラボ)の白谷さんに、今、浜松で仕事をする理由やその魅力など、浜松の外からの視点を中心にインタビューしていきます。」

ーー白谷さんはもともと東京や関東圏でお仕事されていますが、ここがアトリエ兼ショップということは、藤沢市の方では実店舗をやっているということですか?

いえ、元々は東京の中目黒、その前は北青山でお店をやっていました。 北青山が14~5年前からで、中目黒が4~5年くらい前までのころです。

僕は、元々アパレルをやっていまして、メンズファッションのブランドをやっていました。でも、この業界は、やっぱり長いシーズンをやればやる程、ファッションの世界は回転も早いので消費も結構激しいということに気づくようになって。

ありがたい事に、僕は起業してスタートした時にはすごく調子よくやらせていただいたのですが、やっぱりこの業界の仕事を続けるうちにだんだんと考えるようになりました。

その中でも1番考えるきっかけになったのは東日本大震災でした。震災の時に、東京の何もかもがストップしちゃったんですよ。 あの時には正直本当に、簡単に終わってしまうと思っちゃったんですね。電気も何もかも止まった状況で、車もダメで。幸いにもお店は無事だったので、翌々日にはお店を開けていました。 もし東京にいらっしゃっていたら分かるでしょうけど、ほぼ1~2週間はもうゴーストタウン状態で。 だから、こんな簡単に。しかも震源地は東北。それなのに東京でもこれだけ影響が出るんだなと。 あとは、原発のムードがすごかったですよね。関東を脱出する人も多くて、いざとなるとこうなっちゃうんだなっていうのを少し感じた時に、考えるきっかけになりました。

実際、ファッションは大きな流れがあって、年に2回は作って、それを大量に販売して、その為に棚卸しをやって、という一連のサイクルがあるんですよ。

独立した当初は情熱の方が勝っていたので、世界にないものを作ろうとか、世界で1番かっこいいものをやろう!と思ってやっていました。 当然、それを目標にするスタッフの気持ちも燃えていくのでモチベーションとしてとても重要ですけど、そういうものは段々上積みされていくと、いつの頃からか自分たちのやりたい事がだんだんとブレてきてしまったんです。 このまま数字を追いかけていくのか、みたいな。それでも、みんなの生活をちゃんと守っていくのか。僕、本質的にそういう能力があんまりないんだと思うんですよ。

ものづくりはすごく好きですけど、業務を拡大していく能力がそんなにあるとは思ってなくて。でも、振り向けばスタッフもそこにいるので、やるべきことだという事でやっていました。そうしていくうちに、やることなすことがどんどん離れていってしまう現実もあって。

そして、それらが最終的にリンクしたのが4〜5年前ですね。お店を1回閉じようと決断しました。

1回閉じようと思っても、スタッフがいましたので、時間をとって最終的には解散に近い形になりました。

あとは自分自身がどうしたいか考えて、ちょっと1人で人からオーダーを受けてやるような企画の仕事みたいな事をやっていました。今後どうしていこうかなと考えていた時に、ちょうどこのビルの社長の鈴木基生さんから突然ご連絡をいただいたんです。

というのも、僕がキャリアを始めた頃に基生さんは浜松で生地屋さんをやっていて。僕がはじめの頃は、洋服を作る上で生地をほとんど基生さんのところにやってもらっていました。

それから数年ぶり位になりますが、突然でしたがご連絡をいただいて。 それで今は、ここのビルの仕事をしていて街に関わることをしていると聞いて。

それで1回見に来ませんかと誘われて、このビルを見学に来たのが3年前位ですね。 前にも浜松には何度か来たことがありましたが、まちなかを歩くことはほとんどありませんでしたね。お得意様のところをまわったりとかしたくらいで。

ーーその時に見た浜松ってどんな印象でした?

僕は浜松については「生産元卸(産元/さんもと)」っていう認識がすごく強かったんですよ。 なので、あまり“街“という点では興味を持っていませんでした。 その時に、「調査事業もあるので、そういう縛られていない状況で合うならば、調査事業も含めて手伝ってくれませんか」ってお話をいただいたので、それでちょっと関わってみようかなって。

そうして街を歩く事になると、カギヤさんとか文泉堂さんとかがあって。 もちろん、どこの地方も商店街は飲食店ばっかりになっていくのは、基本じゃないですか。だけど、ここのゆりの木通りは比較的、物販とか洋服屋もあるなとか、そういうのが面白いと感じて。

それで、ここを介して出会う人達、今回紹介いただいた一朗太さんもそうですし、いろんな方たちと知り合ってお話をしていくのが、自分にはとても新鮮に感じました。 言葉で言い表すのは難しいし、年齢の差もあったとは思いますけど、なんだかすごく新鮮に感じて、この感じはなんだろうと。

そうしたら、ここの万年橋パークビルの7階をどうにかできるのでは?っていう方向に自然と話が進んで。 最初はここで商業施設を〜とか、そんなお話だったんですけど。いやいや7階で普通の商業施設は無理だろ!?って。何か面白いことじゃないと。 そういう事ではなかなか具体性のある話ができなくて、集まりにくいし、なかなか決まらないですよね。

ーー確かにここは元々駐車場ですから普通に考えてしまうと難しそうですね

そこで、まずは僕個人に置き換えて考えてみたんです。

東京でできなかった事、湘南でできなかった事を総合的に考えていくと、異なる3拠点を使えばできるかもなと考えたんです。 これは相互補完の考え方で、3拠点のうち、どこかが欠けても今の自分には難しいですが、その3拠点をうまく使った新しいやり方があるんじゃないかと思い始めました。 しかも、インターネットが流通している時代ですからそれほど難しくない。

僕がキャリア始めた頃には、インターネットで洋服を販売なんて絶対無理だって言われていた時代でした。けれど今では、ZOZOTOWNやamazonの大勝利で(笑)そういう時代じゃないですか。 だからもう、「じゃあ小売店や実店舗ってなんなんだろう?」って考えると、東京に無理やり店があるって状況は必ずしも正しいとは言えないのかもしれないって思ったんです。

インターネットの利便性が大前提ですけど、そういうものも組み合わせた形で新しい動きを作るには、浜松というこの場所は悪くないかなって。個人的に僕が住んでいる自宅兼作業部屋が辻堂というところにあって、湘南の海のすぐ近くにあるんです。

僕自身、やっぱり「海」っていうものの財産価値はものすごく大きいと感じていて、そういう点では浜松もすごく海が近くて。 よく、浜松の人は海まで結構遠いと思っているみたいですけど、とんでもない。他所から見ると、車で15分も走れば海に行けるのは、ものすごく近いですよ。

地元の方のその感覚って、すごくもったいないなーと思っていて。それで海のカルチャーとか、諸々を上手いことリンクさせていけるのではないかって思ったんですよ。それがここを始めたきっかけですね。

ーーお隣にボードがありますが、ボードのメンテナンスとかはまた別の方なんですよね?

松尾英範さんですね。ボードのリペアは技術職なので、その人でなければできないことが多いんです。また松尾さんの「ヴィンテージボードを中心としたサーフカルチャーの提案」には本当に共感したんです。

ちょうどお店を閉じられた後だったので、リペアをやる部分を併設したらどうかってお話したら興味を持っていただいて、じゃあ一緒にやりましょうかってことで隣をシェアして作業場所として使ってもらおうと思っています。

ーーなるほど。最初、白谷さんがサーフボードか何かされている方なのかなと思っていました。

僕はSUPをやっています。スタンドアップパドルボードっていうものです。 今はSUPにガッツリハマっています。

スタンドアップパドル・サーフィン – Wikipedia
スタンドアップパドル・サーフィン(Stand up paddle surfing)は、ウォータースポーツの一つ。略してSUPとも呼ばれる。サーフボードの上に立ち、波が形成する斜面を滑走したり、水面を漕いで移動する。
ハワイ語ではHoe he'e nalu。大きなサーフボードの上に立ち、オール(パドル)を使って漕ぐ乗り方を指す。

ーーボードの上でヨガとかされてる方いますよね?見ていると落ちちゃうんじゃないかってちょっと心配で…

女性でヨガをしてる方多いですね。サーフボードに比べるとだいぶ浮力があるので、安定しています。とにかく気持ちいいですよ!

あとは、サーフィンだと波に乗ってテイクオフから最後まで、ざっくりだいたい7秒〜8秒くらいで終わってしまいますよね。けど、パドルボードだと波がなくても大丈夫で、浮いて漕ぐ、いわゆるクルージングができます。その分、長時間乗ってると体力的には大変でヘロヘロになりますね。

もちろん波乗りもできますけど、パドルボードは大きいしその上に立って乗っています。なので周囲の状況や、特にサーファーには気を配らないと事故やトラブルのもとになるので細心の注意が必要です。

僕がSUPと出会ったのも、今の考え方の変化に関係があるのかもしれないですね。浜名湖でもSUPをやっている人が結構いると聞いていて、浜名湖にはまだ行けていないのでこれからの楽しみですね。


今回はここまで!
次回、白谷直樹さん第2話公開は4/7の予定です。お楽しみに!

インタビューア:Any 伊藤
記事編集者:浜松つーしん  鳥居