【まちなかストーリー】backwardlab(バックワードラボ)白谷直樹さん 最終話「首都圏の人が浜松という街で仕事をするということ」

まちなかで活躍する人にスポットを当てて、そのヒトの街に対する想いや物語を紹介する「マチナカストーリー」。
前回の株式会社 大と小とレフの鈴木一郎太さんから紹介いただき、9人目はbackwardlab(バックワードラボ/株式会社バーフェイズ)の白谷直樹さん。全3回に分けて、毎週お届けしていきます。

今週は最終話「浜松という街で仕事をするということ」についてお話していただきました。

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人物紹介


白谷直樹
さん

福岡県出身、都内でメンズアパレルブランドを起業。中目黒、北青山にお店を出した後、現在は藤沢市辻堂に事務所を構える。今後の方向性の再考とライフスタイルの見直しを提案するべく、万年橋パークビルの7Fのキューブ型テナントCUBESCAPEに入居。浜松にも拠点を持ち3拠点生活を始める。4月7日よりアトリエ兼店舗 backwardlab(バックワードラボ)を週末中心にオープン。ちなみに高校時代はボート部で、SUP(スタンドアップパドルボード)や自転車、バイクも好き。

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第3話「首都圏の人が浜松という街で仕事をするということ」

ーー浜松のまちづくり・都市計画について、外から来られた方としてはどう感じましたか?

僕の実家、福岡とかだと東京のプチサイズの都市ですよね。住んでた当時の感覚ですけど観光以外では東京をそのまま小さくした感じがします。元々無いものはあまり無いし、だからそれほど刺激を感じない。じゃあ、東京でいいよねってなっちゃう。

でも、浜松はそういう感じじゃなですよね?そこが良いんですよ! イオンができてとか、郊外に大型店ができて都市部が厳しいとか、構造はいろいろあるんでしょうけど。

まちなかは、いい意味で放置されている部分がまだまだあるじゃないですか。 例えば、大手のデベロッパーも含めてメジャークラスの資本の進出がまだ街中には多くなくて、それもある意味ではラッキーなんじゃないかなと思っています

ーーそういうものにあまり手を入れられてないということですね。

そうですね。僕にとっては、東京=浜松間の距離間もちょうどいいですね。 僕は、実はそこが1番いいポイントではないかと思っていて、車でも全然移動できちゃう距離だし、新幹線も停まるし、でも近すぎない。いい塩梅の距離感なんじゃないかなって。

逆に、東京の池袋でこうなったから、それをそのまま浜松に持ってくるとか考えずに。

都市開発をどんどん進めていくと、ビルの中も全部一緒なんじゃないかって構造になっていくじゃないですか。そんなのを何個も作っても「どうなんだろう?」って思いますよね。 そういう事を考えると、今だったら浜松は、まだまだ手が入っていない状態なので独自性を普通に出せるポテンシャルがあると思っています。

ーー地方創生、全国でいろんな取り組みがありますが、その土地ならではの仕組みだったり、環境だったり、人間関係や思いだったり、そういうものがすごく複雑に存在してその地域が構成されているので、ある成功例だけをそのまま持ってきても、全然マッチしないですよね。だから、地方創生は難しいなと思います。

「都市部から少し離れて暮らす」、それの最大のポイントが距離にするとだいたい200km位じゃないかなって僕は思っています。それこそ、三島とかそのへんなら、首都圏へ通勤できるらしいですよね。

クリエイティブとかものづくりをする場所は、アトリエという考え方だと、東京はPRとか表現を発信する場所になりますよね。 そういうニュアンスにして伝えていけば、首都圏から郊外に人を結構呼べるのではないかって考えています。

なので、未だに僕の事は周りからは謎めいて見えていると思いますよ(笑) 「あの人何をしている人なんだろう」って。

僕も、今、具体性を「うーん、うーん」って考えている思考錯誤の最中なので、具体的な形にしてこういう事を浜松という都市を通じて、うまいことやって伝えていけたらいいなと思っています。

この7FのフロアCUBESCAPEも、商業ばかりを入れようと思っていらっしゃらないみたいで、どちらかというと、最初のキーワードでいうと「手作業」。事務所でもなんでもいいけど、「手を動かすこと」、そういう事をキーワードにしている。 全部がそうなるかはわかりませんけど、なるべくそういう形で。だからここに建築の事務所があってもいいと思います。

ーートキワ荘みたいに、白谷さんを始め、クリエイティブの方とかが集まって来るような場所になるといいですよね。

そうですね、コミュニティフロアにしていければいいなと思いますね。異種格闘技のようなコミュニティ。いろいろな交流や会話が生まれる場所。 例えばチェルシーホテルみたいな。ここ元々駐車場なので、チェルシー駐車場みたいな(笑)

(チェルシーホテル – wikipedia)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB] チェルシー・ホテル(英語: Hotel Chelsea, Chelsea Hotel, またはthe Chelsea)は、1883年に、ニューヨーク市マンハッタン区チェルシー地区に建設されたホテル。著名な芸術家や音楽家、作家が好んで滞在することで有名。

東京を完全否定しちゃうと、東京がダメで逃避な人だって思われてしまうけど、やっぱり東京はすごいとこはすごいじゃないですか。世界でもトップレベルの都市ですし、刺激は確かにあるから、なんらかのコネクションはあるべきです。でも、やっぱり幾分かは遮断はしないといけないって思います。

先程話した「知らない勇気」っていうのは必要だと思いますし、やはり、モノを考える人は時間と情報の取捨選択をするという意味でも間違いなくそうだと思います。 そういう視点から地方創生をしていったらいいんじゃないかな?とも思いますね。

終身雇用みたいなものも少し変わってきてしまっているから、ダブルワーク、トリプルワークみたいなものの一貫として拠点を2つ・3つ持つのも悪くはないかなと思います。

ーー今後、企業に勤めながらそういう拠点を持つ方が増えたら、そういう裾野が広がっていくのかなと。

こういうことを、企業が少しずつでも認めてくれるといいですよね。

僕らはアパレルでしたから、広告といったらまずは雑誌ですよね。 雑誌の出版社って、全国誌はほぼ東京が拠点で、渋谷区か港区に拠点がないと、まず掲載してもらえないし。そういう時代があったけど、ほぼWebに移行していますよね。じゃあ、なんでまだ東京かというと、やっぱり影響力のある人たちが多く、その口コミのちからが大事で。 ただそれ以外の業種は必ずしも東京である必要がないですからね。

ーー今はお休みの日とか何をされていますか?やっぱりSUPですか。冬の間はどうしているのかなって気になりまして。

冬もSUPやっていますよ。今月はバタバタしていましたけど、元旦の1月1日とかも乗りましたし 笑 冬でもウェットスーツ着れば大丈夫ですし、実は、海の水の中はそんなに寒くないですよ。だから、水に浸かっていることにはそんなに問題ないです。 ただし、上がるともう、寒くて震えますけどね。 やっぱり休みは自転車で海に行ってる事が多いですし、あとは仕事柄まちなかに行く事も多いです。 でも、僕は”世捨て人”になったつもりはないですけど、街に行って、買い物しようと思ってもあんまり面白く感じなくなってきていて。みんなどこで何を買い物しているのかなって(笑)

ーー分かります。自分のモチベーションでは買い物に行きたいけど、いざ行くと別に買いたいものがないですよね。

そうなんですよ。 例えばダウンが欲しいと思ったらあそことあそこ行って、その中で好きなのを買えばいいかって位にしかならないじゃないですか。 僕、最初は、洋服屋で洋服見すぎたのかもなって思っていたんです。 でも、これはきっとどこに行っても街の風景が一緒だからですよね。そして、商品が寄ってき過ぎている。だから、そういうモノじゃない別の何かが大事なんだろうなって思います。フィジカル的に感じる何かですね。

ーーこれから起業する方に先輩からのアドバイスをお願いします。

自分の反省も含めて、やりたい事をブレない。ブレる様であればブレる原因の方が間違っていると思った方がいいかなという気はします。

僕の周りで成功している人、すごいなと思う人は、あるポイントでは必ずブレてないので。その辺が、自戒も込めて重要なんじゃないかなと思います。

ブレないでやり続ける為に、経費を抑えないといけないとか、だったら家でやりますとかでも、僕は全然良いと思う。何よりもやりたい事を第一に考えてやる。その方が、道が拓ける気がします。

もちろん、東京とかでやっていればスピード感は早いです。ですが今はもうそんな時代でもないのですし、なおさらそのやり方だと資本勝負になってしまって難しい。それなら、なおさらやりたい事を。

まず、「本当にそれがやりたい事か?」っていうのがスタートですけどね。 そこまでいったら、今度はそれをブレないでやるっていうのが大事だと思います。


今回はここまで!
次回は遠州綿紬を愛する方々へのインタビューを4/21に公開予定です。お楽しみに!

インタビューア:Any 伊藤
記事編集者:浜松つーしん  鳥居