「まちのしごと、まちのひと。」Vol.4 鈴木美希子さん
- まちなかストーリー
- 2025.06.09
浜松まちなかで活動する人・働く人にスポットを当てたコーナー「まちのしごと、まちのひと。」
そのヒトの想いや活動など「ヒト」にフォーカスをしたストーリーを紹介していきます。
第4回目の今回は、
鍛冶町にある化粧品専門店「化粧品の和光」の「鈴木美希子さん」
にお話しをお伺いしてきました。
目次
自己紹介をお願いします!
浜松市出身です。県外の大学に進学し、日本文学を専攻していました。大学生活では、日本語教員や博物館で働く学芸員の道などを選択の視野に入れて4年間を過ごしてました。その後大学院へ進む道もありましたが、ちょうど就職氷河期という事もあり、色々考えて一般企業に就職をしました。その後6年弱務めた後、家業の「化粧品の和光」に入りまして、化粧品業界歴は10数年になりました。
どんなお店なのか教えてください。
化粧品の和光は、11ブランドの化粧品を取り扱う化粧品専門店です。「化粧品専門店」というと、今の若い方たちにはどんなお店なのか伝わりにくいかもしれません。今は様々な場所や方法で化粧品が購入出来ますが、私が学生の頃は百貨店、薬局、化粧品専門店での購入が一般的でした。その中の一つが化粧品専門店です。具体的にどんな事をしているのかというと、カウンセリングをしながら、お肌の様子を見たり聞いたりして、その方に合う化粧品を紹介するのがメインのお仕事になります。
- Clé de Peau Beauté
- DECORTÉ
- 香椎化粧品の夏の新作
ーー多数ブランドの化粧品を取扱う和光さん。化粧品の事をしっかり聞いたり、お肌の相談をしてから購入したいという方におすすめです。
ーーお店のInstagramは☝をチェック。化粧品の紹介はもちろん、鈴木さんのオススメグルメなども紹介されていますよ👀
「その方に合う化粧品を紹介する」とは、具体的にはどんな事をされているんですか?
そうですね。”その方に合う化粧品を紹介する”という事を掘り下げていくと、お客様のご希望に近づける一番の近道を考える事です。現在のお手入れ方法、なりたいお肌、目指すお肌(つやつやしたお肌/きめの細かいお肌/色白になりたいなど)、ご予算を聞いてスキンケアやメイク用品などをアドバイスしています。ポイントメイクの色選びでも「元々の唇の色が明るめだからちょっと濃いかな」「これだとお仕事には明るすぎるかな」「今回は結婚式にご出席だから、ちょっと華やかにしよう」などじっくりお声を聞きながら、納得いく商品をお探しします。
同じお客様でも、1年を通して一定の肌質ではありません。気候や寒暖差、花粉、黄砂、それぞれのホルモンバランスも肌に影響があります。「この時期は花粉でいつもあれやすいよね」「顔は大丈夫だけど首は荒れやすいんじゃないかな」など過去を思い出しながら、事前にアドバイスする事も心掛けていることの一つです。
ドラッグストアやネット販売など今は化粧品を購入する所が多種多様にあります。でも私のお店を選んで来てくれる方には、私が力になれる事や出来る事は全力でしてあげたい!!という気持ちで日々仕事をしております。
ーー(左)どんな時も明るい笑顔で出迎えてくれる鈴木さん。(中・右)お店のディスプレイも鈴木さんが担当。季節に合わせた飾りをご自分で制作されています。大学時代学んだ経験が現在のお客様とのコミュニケーション作りやお店造りにも活かされているそう。
お店の歴史を教えてください。
私の曽祖父が大正12年(1923年)に創業し、現在102年目になります。創業当時は化粧品問屋(卸業)をやっていました。戦争の時代もあり、社員が戦争に行ってしまった。当時の番頭さんが戦争から帰ってきた。戦争も終わって、これでまた商売ができるぞ!といった当時のメモが残っていました。そんな時代の波もあり次は小売業という形に展開していきました。2代目の祖父の代から問屋業と小売業をしていましたが、父の代からは小売業のみで、「和光」と「浜北店」の2店舗で営業をしています。
色々な職種がある中で、100年以上続けていられる事は本当に感謝しています。
家業である化粧品業界で働こうと思ったきっかけはありますか?
この道に進もうと思ったのは、やっぱり浜松で、ここの家で育ったということ。化粧品が生まれた時から当たり前のように身近にあったこと。家の中に化粧品がゴロゴロしてる環境で育って、香水など何もつけていないけれども、同級生に「いつもいい香りがするね」「化粧品に囲まれて良いな」と声を掛けられる事もありました。化粧品は自分にとって当たり前の存在でした。他の道も考えたけれど自分の中で、どこかこの家に生まれて、自分が長女として育ち、何か背負ったといいますか。そういった思いも少なからずあります。でも一番は「何か自分が出来る事を少しでも手伝いたい」当時はそんな気持ちだったと思います。
お店をやっていて嬉しかったエピソードはありますか?
色々ありますが、一番嬉しいのは自分が紹介した化粧品を「良かったよ!」「使っているよ!」と言ってもらえる事です。お客様が喜んでくれている事が何よりも嬉しいです。
またお母さんと一緒に来ていたお嬢さんが成長して、成人式や卒業式、就職のタイミング、ご結婚など人生の節目節目に寄り添える事も大きな喜びの一つです。
今後の展望はありますか?
祖父が小売業を始めるにあたって大切にしていた言葉が「ほほえみと情熱」です。それを父も経営理念として引き継いできました。なので私なりにほほえみと情熱とは何かをいつも考えています。お店の店長である母の解釈は『毎日ご来店いただく多くのお客様の中で、たった一人でも良いからこの店に買いに来て良かった。と思って下さる人をつくる事』でした。その理念の元、お客様の事を想って仕事をしている母の姿を見てきました。今後は先代の良い所を取り入れながら、令和の時代に柔軟に対応していく事が課題です。
私自身としては”化粧品を通してお客様にhappyをお届けしたい”と思っています。和光で購入した化粧品でお客様が「メイクが楽しい!」「きれいと褒められた!」とhappyになってもらうことも一つです。「今日は沢山笑ったから来て良かった」と笑顔で帰られるのをお見送りするのもhappyの一つかなぁと思っています。自分に出来る事をこれからもコツコツと続けていきたいです。
ーー先代から受け継がれたモットーを引き継ぎ、大切にしている化粧品の和光さん。お店の公式ページはこちら☝
最後にこの記事を読んでくれている方にメッセージなどあれば教えてください
現代は多様性の時代といわれています。流行や性別、年齢にとらわれず皆さん自分の出来る範囲で美容を楽しめたら良いなと思います。だから化粧品を使ったことがない人でも、男の人でも誰でも、きれいになりたい、変化を楽しみたいと思ったタイミングで足を運べる。そんな街の化粧品店でありたいです。
ーー鈴木さん、貴重なお話を有難うございました。