「まちのしごと、まちのひと。」Vol.17 鈴木 幹汰 さん
- まちなかストーリー
- 2026.10.28
浜松まちなかで活動する人・働く人にスポットを当てたコーナー「まちのしごと、まちのひと。」
そのヒトの想いや活動など「ヒト」にフォーカスをしたストーリーを紹介していきます。
第17回目は、
天錦 3代目 の 鈴木 幹汰 さん
にお話しをお伺いしてきました。

目次
自己紹介をお願いします!
浜松出身です。小学校からずっと続けてきた柔道の推薦もあり、大学は関東の大学に進学しました。大学生活はまさに柔道一本でした。起床後朝練に行き、授業が終われば昼のトレーニング。その後また練習をし夜ご飯を食べたら夜練をしてという感じで、1日中練習に明け暮れておりました。大学卒業後は東京の和食料理店に就職をしました。下積みから入りお昼の料理を担当させて頂き4年弱働いた後、2024年に浜松に帰郷しました。現在は家業の天ぷら屋「天錦」の3代目として、1代目の祖父と2代目の父と共にお店に立つようになり、2年半程がたちました。
ーー写真左)今回取材させて頂いた鈴木幹汰さん(左)と2代目のお父様(右)。取材の際も仲睦まじい様子が伺えました!写真右)大学時代、柔道に明け暮れていたという鈴木さん。黒帯を所持し、大会等にも出場されていたそうです。次項以降1回のランチで最高80食も売り上げる事がある天錦さんについてお伺いをしていこうと思います。
天錦さんについて教えてください。
どんなお店ですか?
田町にある天ぷら専門店です。お昼の部は天丼1種類のみでやっております。海老や白身魚、海苔・卵の黄身などの具材を目の前で揚げ、自家製のたれをかけ提供しています。夜の部は天丼をはじめ天ぷら定食と、1品ずつ揚げたての天ぷらを提供するコースもあります。現在はお昼の部を私が担当し、夜の部は祖父が担当しております。
ーー左)お昼の天丼。秘伝のタレはおじい様が長年かけて作り上げてきた味。気温や素材の状態によって配合を変えたりして味の最終チェックはおじい様がされているそう。左中)黄身の天ぷらは天錦名物‼サクサクの衣食感と半熟のとろ~りとした食感がたまりません!右中)目の前で揚げる様子が見られます。右)天錦さんといえば、180度にもなる油に直接手を入れて揚げるパフォーマンス。衣がついているので、案外指先は熱くないそうです。それでも中々真似は出来ない職人技です!
お店の歴史を教えてください。
今年で創業55年目になります。昭和30年、祖父が中学卒業後に当時千歳町にあった「天錦」という名前の和食屋さんに就職をしました。当時はまだ電気式冷蔵庫もない時代でしたので、氷冷蔵庫(木製の箱に大きなブロック氷を置き、食材を冷やす)を使用したりと、現代とはだいぶ違う環境の中修行を積んだようです。そして約15年後の昭和46年に、”のれん分け”という形で現在の場所(田町)にお店を出店しました。開店当初は割烹店という形で祖父母夫婦がお店を切り盛りをしており、メニューも天ぷら以外にお刺身や和食も提供していたようです。その後営業体制などの理由もあり、段々と天丼と天ぷら定食にメニューを絞っていき現在の形になりました。
ーー左)創業から現在まで鈴木さん一家と共に歴史を積み重ねてきた店舗。1階が店舗、2階が住居スペース。お風呂が無いので営業後に銭湯「巴湯(ともえゆ)※大工町にあった銭湯で2022年に閉店」に通うのが毎日の日課だった。と素敵なエピソードも教えてくれました。中)店内にはカウンター席が9席並びます。右)おじい様が修行をされた千歳町の「天錦」があった辺り。現在は綺麗に整備された新しい建物と昔から残る歴史ある建物が混在する町となっています。
ーー足しげく通う常連さんも多い天錦さん。次項ではお店の魅力を深堀していきます。
ずばり、天錦さんの魅力はなんだと思いますか?
勝手にやっている事ですが、お客様の属性を観ながらお食事の内容を少し調整しています。例えば男性は少し白米の量を多めに盛っています。逆にご年配の方や女性は白米がそんなに食べられない方も多いので少し減らす代わりに、海苔の天ぷらを1枚から2枚に増やしたりしています。また天丼の提供後海苔の磯部あげを出すのですが、それも少し工夫をしています。男性は1本をそのままで出すんですが、女性や年配の方、ちょっと食べずらいかな?というような方へは、小さく切って食べやすいようにして提供をしています。また妊婦さんだと分かった時は、黄身の天ぷらをレア状態で提供しないようにするとか。些細な事かもしれませんが、先代より引き継いできたお客様へのおもてなしの心は大切にしております。
ーー左)海苔の磯部あげ。私が取材にお伺いした際も一口で食べやすいように提供してくれました。右)天錦の代名詞とも言える言葉「喰べるたのしみ 生きるよろこび」。お客様に食を通じてよろこんで欲しいという想いが日々のおもてなしにも表れている事が良く分かりました。
最近はお店の情報発信や取材へも取り組まれているとお聞きしました。
そうですね。以前は店内の写真撮影やSNSへの投稿も基本はお控え頂くようにお願いをしていたのですが、最近は店内での撮影や取材もお受けするようになりました。情報発信を始めようと思ったきっかけは、1つにお客様の入り具合を安定させたいなと思った事です。すごく忙しい日もあれば反対にすごく暇な日もあり、特にお盆明けや正月明け、大型連休の終わった直後などお客様が数人しかこないという日もありました。このジェットコースターみたいな状態をどうにかしたいなと。2つ目にこのお店の認知度をあげて、しっかりと街中に人を寄せたいなと思ったからです。我々まちなかで商売をしている者の課題だと思っているのですが、お店の前の通りも含め週末の夜以外はほぼ人が通りません。じゃあ当店として出来ることは何だろう?と考えた時に、まずは情報発信をして知ってもらって、”観光地化”出来れば人が集まってくれるかな?と思ったんです。炭火焼きハンバーグ「さわやか」が正に良い例だと思うのですが、1つのお店がそこにあるだけで人が集まってくる。そんなお店を目指してまずは発信に力をいれてみる事にしました。
有難い事にその後からテレビの取材を始め、Instagramやyoutubeなど各種SNSに取り上げてくださる事も増えました。SNSの投稿で全世界に向けて発信されているんだなと改めて実感したのは、お客様の入りが増えた事や日による入り具合が安定してきた事に加え、東京や名古屋など遠方からわざわざお越し頂くお客様も増えた事。そしてインバウンドのお客様も増えてきた事ですね。今では土日の人通りが少ない時間帯でもこのお店を目当てに来店くださる方もいらっしゃいますし、目標に向かって1つ進んだかなと思っています。

ーー「とびっきり!しずおか」さんで取材された時の様子。放送後の反響も大きかったそうです。
入店待ちの行列に対しても取り組んでいる事があるそうですね?
はい。お客様をお待たせするのは申し訳ないなと思い、何か少しでも出来る事があれば取り組みたいと思いました。そこで店舗のInstagramアカウントを開設し、営業中の店舗前の列の様子をインスタライブを通じて発信をしております。今はすごく並んでいるからもう少し後に行こうとか、少しでもお客様が並ぶ時間を軽減出来るよう取り組んでいきたいと思っています。また1席しか空いていない時などに1人で来られた方を優先的にご案内しております。当店は9席なので2人組のお客様が4組いると1席だけ空き席が生まれます。「空席をいかに無くしてご案内するのか」も待ち時間の長さに影響すると思うので、その場合は先にご案内する場合もございます。皆様に気持ちよくお過ごし頂くための取り組みですので、ご協力ご理解を頂ければと思っております。
ーー天錦さんの公式Instgramはこちら☝今日の混み具合はどうかな?と気になった時はインスタライブをご覧ください!お店のお休み情報も確認できます。
今後の目標はありますか?
今後やりたいことは、もう1つお店を出店したいと考えています。今の店舗の雰囲気を気に入ってくれている方も有難い事に多いですが、一方で9席のカウンターだけだと子連れの方や身体の不自由な方はどうしてもお越しいただくのが難しいと思います。大人数で利用されたい方もなかなか難しいですし、色々な客層の方々が各々ゆっくりお食事頂けるようなお店をいつか浜松市内のどこかで出せればと構想しております。
最後にこの記事を読んでくれている方にメッセージなどあれば教えてください
手前味噌ではございますが、祖父が長年かけて作り上げてきたこの味は間違いなく美味しいと私は思っています。まだ天錦の天ぷらを食べた事がない方も是非一度食べにいらしてください!またアレルギー等で特定の食材が食べられない方(海老が駄目な方へは野菜の天ぷら/卵アレルギーの方へは卵豆腐に変更など)へも出来る範囲で対応させて頂きますので、お気軽にお声掛けください。皆様のお越しをお待ちしております。
ーー鈴木さん、貴重なお話を有難うございました。











